Uncut Pages

アンカット製本という製本法で作られた書籍がある。

小口3辺を化粧断ち、つまり切り落とさぬまま製本された本だ。
それを自分で切らない限り、本が読めない。

昔のヨーロッパの製本では断裁されていなかったそうだが、現代ではそういう製本の仕方があることを知らない方も少なくないのではないかと思う。

私は一冊だけ、そういう本を持っている。瀧口修造氏の晩年の著書だ。

だが、実はそのページをまだ切っていない。
それを読むことが自分に相応しいと感じられる時が来たら、読もうと思っているから。

瀧口氏がどのような意図で、わざわざその装丁を選んだのかはわからないが、装丁にも色々凝った方だからこそ、その選択には読者に「待った」をかけるような意味があるようにも感じられ、そう感じたことを大事にしたいと思うのだ。

私には、そんな妙なところがある。

いくらでも情報を得られる時代だが、早く多くを知れば良いとは限らない。大事なモノやことほど、本質に関わることほど、そういうものなのではないかと思う。

或いは、いずれ開かないまま遺すことになるのか(笑)
それは定かではないが、そんな風に大事にできるものがあるというのは、幸いなことの様に感じている。

「待つ」という豊かさが、忘れられつつある今だからこそ。

 

以下はWikipediaのアンカット本のページより。

 Uncut book p1190369