備忘メモ(Motor Learning and Control for Danceから)2

Motor Learning In Danceを読んでいくうちに、Toddという覚えのある名前と共に以下の引用があった。

"When “doing exercises” under instruction we are apt to think that we move or direct the moving of muscles. What actually happens is that we get a picture from the teacher’s words or his movements, and the appropriate action takes place within our own bodies to reproduce this picture. The result is successful in proportion to our power of interpretation and amount of experience, but most of all perhaps to the desire to do. In any case, the final response is automatic and not the result of any consciously directed movement of particular muscles. It is the result of a combination of reflexes, no one of which can be selected as in itself “causing” the movement, or pattern of movement.
Mabel Todd,1937,p.33

 『The Thinking Body』というボディワーカーや舞踊家に影響を与えてきた本からの引用だ。
Toddはいわば、イデオキネシスのルーツとてもいうのだろうか。

ちなみに『The Thinking Body』の中で、上記の引用の後には、

As Starling has pointed out: “We have no objective phenomenal experience of our muscles. All that we are aware of and can judge of by our other senses is the movement as a whole, and our sensation of movement is therefore referred to the whole movement and not to the individual muscles.”

という文が続く。
Starlingとは、『Principles of Human Physiology』を記した生理学者のErunst H.Starling。

 

時代と共に変遷や進歩はあっても、そのようになされてきた様々な研究、試み、創始者たちのことを想いながら、またしても何か感慨深い気持ちに。

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Mabel Elsworth Toddと、『The Thinking Body』の中の図

 

また、

T.Hanna のソマティック学習の原理に関する一考察
― ボディワーク比較分析のための視点抽出の試み ―

という研究があり、
これまで触れてきたものをそこに重ねたりもしながら興味深く拝読したが、その研究者の方が 日本体育学会体育哲学専門領域の会報の中で『The Thinking Body』について以下の様に紹介なさっているので、この備忘メモにも一部引用させて戴こうと思う。

 

書名のサブタイトルや各章の見出しからも分かる通り、この本は、生きて動く人間の、主に骨格構造について、当時の解剖学、生理学、力学、神経科学などの理論に基づき説明しています.加えて,そうした身体の構造が,地球上の生命の進化のプロセスにおいて外界からの力に応答する中で形成されたことや、人間の行動が,いかに情動や先入観によって影響を受けるものであるかを指摘しています。
例えば 1 章 1 節「身体の態度」には次のように述べられています。
「行動はほとんど合理的なものではない、それは習慣的で感情的なものである。(…)自己を表現する中で,精神と感情の素養,気質,個人の経験と先入観が,全身の部分間の関係に影響を与え、またそれらをコントロールしている」(pp.1-2)。
また 2 章 5 節「姿勢における条件づけられた反射」には、「動物は姿勢に対して無意識であるが、人の姿勢に対する態度は,どのように見てもらうべきかという先入観によって大きく決定される」(p.34)とあります。
ひたすら振付家の動きを見て反復練習をすることで慢性疲労から障害に至ったモダンダンサーらが本著によって開眼し、自らの身体と心の探究に向かったことは想像に難くありません。
タイトルにある「思考する身体」とはつまり、意識以前の時代から外界の力に応答しながら生命の形を形成し、内部の動的均衡状態を保つ営みを賢くも続けてきている身体の在り方を表したものと考えられます。


日本体育学会体育哲学専門領域 会報Vol.19(4),
February, 2016
http://pdpe.jp/kaihou/annual2015-4.pdf

 

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