自然にしていること

出張講座から

 ダンスの動き、ワークの動き…としてだけで
今、じぶんがしようとしていることを捉えていないだろうか。

顎のワークは口を開くことから徐々に背骨が伸展していくが
そんな風にアタマが動くのはどんなときだろう?

空を見上げるように、何かを「見よう」として
ヒトは上を向くのではないだろうか?

鏡の中の自分、外から見た自分ではない
自然にそのような動きが生まれる時のことを
思い出してみよう。

見ることが置き去りになっていないだろうか?
今、本当に見ているはずのものより
思い描いた自分や何か他のものを
見てはいないだろうか?

そして、背骨の上端がそのように動き始める時
下端はどのように動くのだろう?

 

「あなたが自然にしていること」に学べることは
きっともっとあるはずだ。

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私の好きな本から

思い出して欲しい。なぜ私たちは赤ん坊の頃、手当たり次第になんでも触っては口に入れていたのか。そして、なぜそうすることを止めたのか。「それは食べるものではありません」と親にたしなめられたから止めたのではないはずだ。言葉や知識からまだ遠かったとき、自らの感覚と同期した運動の中で「あれとこれとの違い」を身をもって知り、誰に命じられることもなく世界を自律的に知り、納得したから止めたのだ。

ところが、そういう原初的な理解の仕方を、成長するにつれて信じられなくなっていく。私たちは自分を育ててきたものを自らの手で台無しにしてしまう。そうした自分に対する不信はいつから芽生えたのだろう。知らないことを恐れ、自己不信がはじまるのは、他者の価値観を基準に自分を眺め、自分の外に理想を描いたときだ。

 

尹雄大 著『体の知性を取り戻す(講談社現代新書)』

体の知性を取り戻す (講談社現代新書)

 

そしてもうひとつ。

今日あなたは空を見上げましたか。
空は遠かったですか、近かったですか。
雲はどんな形をしていましたか。
風はどんなにおいがしましたか。
あなたにとって、いい一日とはどんな一日ですか。
「ありがとう」という言葉を今日口にしましたか。


窓の向こう、道の向こうに、何が見えますか。
雨の滴をいっぱいためたクモの巣を見たことがありますか。
樫の木の下で、あるいは欅の木の下で、立ち止まったことがありますか。
街路樹の木の名前を知っていますか。
樹木を友人だと考えたことがありますか。


この前、川を見つめたのはいつでしたか。
砂の上に座ったのは、草の上に座ったのはいつでしたか。
「美しい」と、あなたがためらわず言えるものは何ですか。
好きな花を七つ、挙げられますか。
あなたにとって、「わたしたち」というのは、だれですか。


夜明け前に鳴き交わす鳥の声を聴いたことがありますか。
ゆっくりと暮れていく西の空に祈ったことがありますか。
何歳のときの自分が好きですか。
上手に年を取ることができると思いますか。
世界という言葉で、まず思い描く風景はどんな風景ですか。


今あなたがいる場所で、耳を澄ますと、何が聞こえますか。
沈黙はどんな音がしますか。
じっと目をつぶる。すると何が見えてきますか。
問いと答えと、今あなたに必要なのはどっちですか。
これだけはしないと、心に決めていることがありますか。


いちばんしたいことは何ですか。
人生の材料は何だと思いますか。
あなたにとって、あるいはあなたの知らない人々にとって、
幸福って何だと思いますか。


時代は言葉をないがしろにしている。
あなたは言葉を信じていますか。

 

『最初の質問』
長田 弘【詩】/いせ ひでこ【絵】講談社の創作絵本 

最初の質問 (講談社の創作絵本)

 

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