邪魔をせず

 

乳児の頃の記憶が無いというのは、とても残念なことのように思う。

この世に生を受けて最初の呼吸は、一体どんな感触だったのだろう。羊水の中で感じていたであろう自分の身体が、子宮の外の世界の重力にさらされた時どのような感覚だったのだろう。

そうしたものを想像するしかできないが、初めての寝返りという「世界がひっくり返る」体験は同時に、自らを一旦「不安定さ」の中に投じつつ目的の行動を起こしてみる試みの初めての成功体験だったのかもしれないということを、このところ寝返りのワークをしながらふと思ったりする。

 

寝返りにも様々なフェーズがあるが、私は動きのごく始めの行きたい方向に顔を向けた時の、それとは反対側の半身に自然と生じる微かな緊張を感じ、その邪魔をせず流れに自分の動きが乗っていく感触や、最も不安定な局面の床と接している側面のラインを感じることや、その一連の流れと次の動きを繋げていくのを感じることが好きだ。余計なことを考えると、どこか微妙に呼吸が沿わなかったり、動きの継ぎ目が浮き立ったりもする。

そんなことをしているとあっという間に時間が経つ。

自習会に毎回参加なさっている方々も、口々に「2時間が短く感じる、足りないくらい」と仰る。それを体験する前はおそらくご自身の中のそういう面を予想はしていなかったと思うし、もしかしたら自分にはできないと思っていらした方もいたかもしれないが、それもやってみたからこそ気付けたことだ。

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