てりむくり

昨日の記事で少し触れたチェンマイのインターナショナルスクールの建物の屋根の形には、人を招き、受け入れ、癒し、発展させていくような力があるように感じた。
それでいて、引き止める・囲うことの無い開放的な空間で、子どもたちはどんな風に動くということを体験するのか、どんな動きが生じるのかという興味が湧いたこともあるし、それは日本の「てりむくり」に通じるものがあるように思った。

そう思った背景には「てりむくり」についてのとても面白い考察がなされた本の記憶がある。

旅に出て、その土地の建築や伝統的な物や事を眺めるとき、こんな視点も併せ持つと観るという体験が更に楽しくなる。
時に言葉より雄弁に、そうした「形」がそこに生きた、あるいは生きている人々の世界観を表しているようにも思うから。

てりむくり―日本建築の曲線 (中公新書)

 

その一部をご紹介させていただこうと思う。

 

日本人は「てりむくり」に何を託したのか。言い方をかえると「てりむくり」はどのような意図を持って、われわれの感性と共振し、それを増幅させてきたか。

これまでに言及した「てりむくり」の意図を、次の十項目にまとめてみる。

一、「混乱を抱え込んで鎮める(すべてを飲み込む)」
東照宮四方唐門、上田商会ゲストルーム、サン・ジョルディ・スポーツ・パレス、震災記念堂

二、「周辺を活性化する(勢いづける)」
神輿、瓢箪から駒、鉢叩き、大阪新歌舞伎座、直島町役場、渋谷の街中の建築

三、「招き入れて癒す(救う)」
銭湯、筑穂高齢者福祉センター+内野児童館、寺院の門、亀甲墓、男体山・蓼科山・浅間山

四、「異質なものを結びつける(習合する)」
照り起り屋根、唐破風、瓢箪

五、「身を預けて抗う(甘える)」
鷹ヶ峰の光悦、首里城正殿、東照宮四方唐門

六、「際限なく生み出す(生まれ変わる)」
瓢箪長者、千成り瓢箪、亀甲墓

七、「時空を超えて遊ぶ(漂う)」
男体山・蓼科山・浅間山の出てくる諏訪縁起、鉢叩き、芭蕉の笠、ウミガメの背中、村野藤吾の劇場および美術館

八、「現世と来世をつなぐ(死を看取る)」
二上山、男体山・蓼科山・浅間山の出てくる諏訪縁起、亀甲墓、霊柩車、ウミガメの背中、芭蕉の笠、古墳

九、「人や物を運ぶ(移動する)」
神輿、霊柩車、ウミガメの背中、芭蕉の笠

十、「性的な感覚を昂進する(愛情を注ぐ)」
神輿、陶磁器、亀甲墓、銭湯、開智学校

 

てりむくり―日本建築の曲線 (中公新書) 182〜183頁 

 


The Panyaden International School


Bamboo and Earth Workshop by Chiangmai Life Construction